日本全国の代表的な和食器を、産地別にご紹介します。
それぞれの和食器の特徴も学んでいきましょう。
益子焼(ましこやき)
素朴な美しさがあり、厚みのある焼き物です。
- 産地:栃木県
- 歴史:江戸末期、笠間焼で修業した大塚啓三郎が窯を開いたのが始まり。
- 土:栃木県内で採れる新福寺粘土などの粗い土を使用。
- 技法:白釉で白く塗ることや柿釉や青釉などを使う。
- 釉薬:芦沼石を利用した柿釉や黒釉がメイン。
笠間焼(かさまやき)
洗練された美しさとモダンさを兼ね備えた焼き物です。
- 産地:茨城県
- 歴史:江戸時代、現在の笠間である箱田村に住んでいた久野半右衛門が信楽焼の陶工長右衛門から指導を受け、笠間で窯を開いたのが始まり。
- 土:茨城県周辺の丘陵地から採取する花崗岩が変質した笠間粘土が主な材料。
- 技法;笠間粘土は粘性が高いため、ひも状に土を積み上げていくひもづくりの手法を用いて作成する。
- 釉薬:白釉、青釉、柿釉、黒釉などを使用する。
九谷焼(くたにやき)
豪華な色絵が美しい焼き物です。
- 産地:石川県
- 歴史:江戸時代、肥前有田で修業した後藤才次郎が起源とされる。
- 陶石:地元の花坂陶石を使用。
- 技法:器を作成する業務、絵描きの業務を分担し作り上げる。
- 釉薬:緑、黄、紫、紺、赤を基本とした上絵釉薬が最大の魅力。
瀬戸焼(せとやき)
瀬戸物の原点と言われる瀬戸焼です。
- 産地:愛知県
- 歴史:鎌倉時代から歴史があり、室町時代に最大の窯場になる。戦火を逃れて美濃に移動した。
- 土:瀬戸産の本山木節粘土(もとやまきぶしねんど)や赤津蛙目粘土(あかつがいろめねんど)を使用。
- 技法:幾何学文様など様々な文様が魅力。
- 釉薬:淡い黄緑色の灰釉、濃い褐色の鉄釉がメイン。
常滑焼(とこなめやき)
赤い泥である朱泥を広めた最古の窯です。
- 産地:愛知県
- 歴史:須恵器の時代である平安末期まで遡る。最古で最大規模の窯である。
- 土:鉄分を多く含んでいる。低温でも硬く焼き上がり、赤く発色するのが特徴。
- 技法:常滑焼は成形の方法に特徴があり、「ろくろ成形」、「押型成形」、「手びねり成形」の3つに分かれる。
- 釉薬:釉薬は使わないで焼き上げることが多い。
美濃焼(みのやき)
独自の世界観を大切にし、容易に説明することが難しい焼き物です。
- 産地:岐阜県
- 歴史:1300以上前の須恵器からはじまり、瀬戸焼の職人が美濃へ流出し、古瀬戸を作っていたことも。
- 土:良質な粘土の産地。もぐさ土、美濃陶土、木節粘土、蛙目粘土、珪藻などを器に合わせた配合を行う。
- 技法:さまざまな装飾技法が用いられる。美濃焼の鼠志野(ねずみしの)と呼ばれる技法は、模様を白く浮き上がらせる技法のこと。
- 釉薬:柔らかい質感が特徴である長石釉を使う。
信楽焼(しがらきやき)
茶人が愛する侘びの焼き物です。
- 産地:滋賀県
- 歴史:聖武天皇が造った紫香楽宮(しがらきのみや)の瓦を焼いたことが、信楽焼の始まりとされている。
- 土:良質な粘土が豊富にあるため、それらを使った焼き物が多い。
- 技法:ひもづくりの手法を用いられることが多い。素朴なデザインが特徴的。
- 釉薬:無釉の作品が多い。自然釉や緋色の焼き物が代表的。釉かけを行う際は、土灰やわら灰など、灰を原料にした灰釉を使うことがある。